リン酸エステル系モノマー「MDP」

当社は1970年代初頭より接着技術の研究に取り組んでおり、1981年にリン酸エステル系モノマー「MDP®」を開発しました。「MDP®」は、歯質のみならず、金属やジルコニアに対しても高い接着強さを示すこと、また、ハイドロキシアパタイトと化学的に結合し、水に不溶性のカルシウム塩を形成することも報告されています。1)

さらに、「MDP®」はその純度によって、接着耐久性およびカルシウムとの反応性が異なることが報告されており2)、当社独自の合成・精製技術によって製造された「MDP®」は、高い接着耐久性を示すことが報告されています。3)

「パナビア® V5 トゥース プライマー」および「クリアフィル® セラミック プライマー プラス」には、当社独自の高純度リン酸エステル系モノマー「MDP®」を配合しています。これにより、「パナビア® V5」、「パナビア® べニア LC」は歯質と補綴装置を強固に接着させることが可能です。

リン酸エステル系モノマー「MDP®」の化学構造

  • 重合性基

    他のモノマーと重合硬化するための部分。

  • 疎水性基

    適切な疎水性(耐久性)を付与する部分。

  • リン酸基

    ハイドロキシアパタイトやカルシウム、
    ジルコニア、金属等と化学結合する部分。

1) Y. Yoshida, K. Nagakane, R. Fukuda, Y. Nakayama, M. Okazaki, H. Shintani, S. Inoue, Y. Tagawa, K. Suzuki, J. De Munck, B. Van Meerbeek: J Dent Res, 83 (6): 454-458, 2004
2) K. Yoshihara, N. Nagaoka, M. Inokoshi, T. Okihara, Y. Yoshida, B. Van Meerbeek: J Dent Res, 93 (Spec Iss C): 29, 2014
3) 吉原 久美子, 長岡 紀幸, 吉田 靖弘: 接着歯学, 32 (3): 159, 2014


タッチキュアテクノロジー

「パナビア® V5 トゥース プライマー」には新規の高活性重合促進剤を採用しており、塗布した歯質との接着界面と「パナビア® V5 ペースト」が接触することにより、重合が促進されます(タッチキュア)。これにより、界面の封鎖が期待できると同時に、歯質と補綴装置とを強固な接着により一体化させることが可能です。また「パナビア® ベニア LC ペースト」も、「パナビア® V5 トゥース プライマー」を塗布した歯質との接着界面と接触することで、歯質と補綴装置を強固に接着させることが可能です。

象牙質接着界面の3D SEM像

直交配置型FIB-SEM(集束イオンビーム加工装置と走査型電子顕微鏡の複合装置)を用いた「パナビア® V5」/人歯象牙質接着界面の3次元観察において、象牙質に対し緊密に接合していることが観察されています。

象牙質接着界面の3D SEM像

左:3次元再構築画像  右:左図からレジン成分のコントラストを透明化した画像

画像提供:岡山大学大学院 長岡 紀幸 先生、吉原 久美子 先生


パナビア ベニア LC

真球状シリカフィラー

「パナビア® ベニア LC」は、真球状シリカフィラー※1とナノクラスターフィラー※2を採用しています。これらの微細なフィラーを高密度に配合したことで、良好な滑沢性及び滑沢耐久性、また扱いやすい操作性を実現しています。

真球状シリカフィラー

※1 球状微粒子シリカ ※2 表面処理シリカ系マイクロフィラー ※3 フッ化イッテルビウムを示します。

クラレノリタケデンタル(株)測定:条件により数値は異なります。